千葉県君津市の
濃溝の滝(のうみぞのたき)は凄く有名になりましたが
さらに、30分ほど南下した南房総市和田町に
歴史ある黒滝があります。
その歴史は
長者川の中流樹木がうっそうと茂る中、
あたりの静かな空気ふるわせて水音が聞こえます。
この黒滝は、花園奥地の水を集めて一気に落ちる落差15mの滝です。
この滝つぼ右上の所に、向西坊が入定した岩窟があります。
向西坊は名を元助(もとすけ)と云い、赤穂四十七士のひとり片岡源五右エ衛門高房の
加僕で主人大事に仕え、その忠義は大石内蔵助をも感動させました。
元禄15年12月14日(1702年)四十七士は、吉良邸に討入りし本懐を遂げました。
赤穂四十七士切腹自裁の後、元助は四十七士の菩提を手厚く弔い
故郷東上秋間の岩戸山(現在の群馬県安中市)に四十七士と君主の浅野内匠頭公夫妻の石像
及び供養塔を建立しました。その後、向西坊と名のり全国を行脚し、やがてこの地にたどりつき
黒滝を愛し村人からも慕われ静かな晩年を送っていたましたが、自分の天命をしると
滝の側の岩窟に入り「予を念ずれば火難諸災難を除き、家内安全、五福寿を増長せしむ」と
遺言し入口を閉じて食を断ち、念仏を唱え自ら入定しました。
時は享保17年(1732)9月30日、53歳。
ここ花園集落では、今も遺徳を偲んで毎年供養祭を行なっています。
向西坊は、また次のような詩を詠んでいます。
「折々は濁りもやせん黒滝の水も浮世の中を流れて」
(平成9年7月10日 南房総市教育委員会 抜粋)
はなぞの広場角には数台の駐車場があり
公園には遊具もあります。
その奥に黒滝への入口があり
多少足場が悪いところもありますが
川の端には歩道も整備されております。
歩くこと10分弱
原生林のこもれびの中に
黒滝が現れます。
この日は前日の雨のため水が淀んでいました。
黒滝の右上の崖に向西坊入定窟があります。
黒滝下流付近の長香寺境内には、
向西坊(こうさいぼう)供養搭があり、
毎年4月に長香寺で向西坊供養祭が行われています。